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口臭の原因とセルフケア:舌の汚れ・歯周病・口の乾き、歯科を受診する目安

口のにおいは、自分では気づきにくい一方で、気にし始めると不安がふくらみやすい悩みです。厚生労働省の健康情報サイトや日本歯科医師会の解説によると、口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌の汚れと歯周病です。この記事では、においの正体、生理的な口臭と病気による口臭の違い、自分でできるケア、歯科を受診する目安、口以外の原因、気にしすぎてしまうときの考え方をまとめます。

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  • 口臭の正体(揮発性硫黄化合物)と、主な原因が舌の汚れと歯周病であること
  • 歯みがき・歯間清掃・舌の清掃のやり方と、やりすぎの注意
  • 歯科を受診する目安と、口以外の原因(鼻・持病など)
  • においを気にしすぎてしまうとき(仮性口臭症・口臭恐怖症)の相談先

口臭の多くは口の中から生まれる

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、口臭の大部分(80%以上)は口の中で生まれる気体によるもので、原因の87%が口の中にあったという報告も紹介されています(e-ヘルスネット, 2019)。

においの主な正体は、揮発性硫黄化合物(VSC)と呼ばれるガスです。中心は硫化水素とメチルメルカプタンで、この2つで約90%を占めます。口の中にいる、酸素を嫌う細菌(嫌気性菌)が、唾液やはがれた粘膜、食べかすに含まれるたんぱく質を分解するときに作られます(e-ヘルスネット, 2019)。

ガスが多く作られる場所として、舌の表面につく白っぽい汚れ(舌苔)と、歯周病で炎症を起こした歯ぐきが挙げられています。両方を比べると、舌苔から作られる量の方が多いとされています(e-ヘルスネット, 2019)。

生理的口臭と病的口臭

口臭は、病気がなくても出る「生理的口臭」と、病気が原因の「病的口臭」に分けられます。国際的な分類をもとに、日本歯科医師会は次のように説明しています(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)。

口臭の相談で大学病院を受診した約1,000人の統計では、約3分の1が口の中の清掃不足による生理的口臭、約3分の1が歯周病など口の病気による口臭、1%強が口以外の病気による口臭で、残りの約3分の1は治療の必要な口臭が認められなかったと報告されています(e-ヘルスネット, 2019)。

ニンニクやお酒のあとの一時的なにおいは、ふつうの生活で生じるもので、治療の対象となる口臭には含めないとされています(e-ヘルスネット, 2019)。

口臭が自分で気づきにくいのにも理由があります。鼻のすぐ近くで出続けるにおいには、鼻が慣れてしまいます(嗅覚の順応)。そのため、強い口臭があっても本人は気づかず、反対に、においがないのに不安になる人もいます(e-ヘルスネット, 2019)。

1992年に18〜64歳の2,672人を対象にした調査では、次のことが分かりました(e-ヘルスネット, 2019)。

厚生労働省の2016年の歯科疾患実態調査では、15歳以上の約10%が「口臭が気になる」と答えています(e-ヘルスネット, 2019)。

毎日のケア:歯みがきと歯と歯の間の清掃

歯ブラシは歯の表と裏、かみ合わせの面の清掃には向いていますが、歯と歯の間は十分に磨けないです。すき間の小さいところにはデンタルフロス(糸ようじ)、すき間のあるところには歯間ブラシが役立ちます(e-ヘルスネット, 2021)。

デンタルフロスの使い方は次のとおりです(e-ヘルスネット, 2021)。

  1. のこぎりのように前後に動かしながら、歯と歯の間に入れる
  2. 手前の歯の歯ぐきの中に糸が少し隠れるくらいまで入れ、歯の面に沿わせてかき出す
  3. 奥側の歯も同じようにする
  4. 前後に動かしながら糸を外す

歯間ブラシは、歯や歯ぐきを傷めないよう、すき間より少し小さめのサイズを選びます。表側からやさしく入れて数回往復させ、裏側からも同じようにします(e-ヘルスネット, 2021)。サイズに迷ったら、かかりつけの歯科医院で聞いてみましょう。

2022年の歯科疾患実態調査では、歯みがきに加えてデンタルフロスや歯間ブラシを使っている男性は39.9%、舌を清掃している男性は16.9%で、女性(それぞれ60.1%、24.6%)より少ない結果でした(厚生労働省, 2023)。

舌の清掃のやり方と注意

生理的口臭を防ぐには、歯みがきに加えて舌苔を取り、舌を清潔に保つことが効果的とされています(e-ヘルスネット, 2019)。やわらかい歯ブラシでもよいですが、専用の舌ブラシを使うとより効果的です。

  1. 鏡を見ながら舌を前に出し、奥の方に舌苔がついていないか確かめる
  2. 舌ブラシを見える範囲のいちばん奥に軽く当て、手前に引く。力は入れない
  3. 息を数秒止めながら行うと、「おえっ」となる反射が出にくい
  4. ブラシを水で洗い、汚れがつかなくなるまでくり返す

回数は、舌苔が増えやすい起床時の1回で十分です。それ以上行うと舌の表面を傷つけるおそれがあり、舌に傷や潰瘍があるときは中止します(e-ヘルスネット, 2019)。ゴシゴシこすって舌が赤くなるほどのケアは、逆効果になりかねないので控えましょう。

口の乾きとふだんの習慣

唾液には、口の中の汚れを洗い流す働きがあります。唾液が減ると口臭が出ることがあり(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)、寝ている間や何も食べていないときに舌苔が増えやすいのも、かむ動きや唾液の量と関係していると考えられています(e-ヘルスネット, 2019)。

歯みがき剤の中には「口臭を防ぐ」と表示できる化粧品があり(厚生労働省, 2011)、口中清涼剤(医薬部外品)は「口臭」「気分不快」の範囲で効果を表示できます(厚生労働省, 2017)。ただ、これらは香りなどで口の中を整えるもので、舌苔や歯周病への対処の代わりにはならないと考えましょう。

口以外の原因

頻度は低いですが、口以外の原因もあります。日本歯科医師会は、胃や鼻の病気も口臭の原因になるとしています(日本歯科医師会「お口のなんでも相談」)。e-ヘルスネットでは、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や、ごくまれに肝臓や腎臓の病気が挙げられ、糖尿病の甘酸っぱいにおいのように、においで見分けられるものもあると説明されています(e-ヘルスネット, 2019)。

医師向けの解説では、口を閉じて鼻から吐いた息の方が強くにおう場合は鼻の病気を、口と鼻から同じようなにおいがする場合は体の病気や肺の病気を考える手がかりになるとされています(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。こうした病気は、口臭以外にも鼻水、せき、発熱などの症状をともなうことがほとんどです(e-ヘルスネット, 2019)。

歯科を受診する目安

口臭の原因のほとんどは口の中にあるため、気になるときはまず歯科を受診しましょう(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)。特に次のような場合は、早めの受診が安心です。

  • 自覚がないのに、家族から口臭を指摘されるようになった(歯周病は痛みがほとんどないまま進むため)
  • 歯みがきで歯ぐきから血が出る、歯ぐきが腫れる、歯がぐらつく
  • むし歯や、治らない口内炎・ただれがある
  • 舌の清掃を続けても、においが変わらない

鼻水や鼻づまりが続く、せきやたんが多い、急にやせたなど、口以外の症状もある場合は、耳鼻咽喉科や内科にも相談しましょう。

e-ヘルスネットでは、家族から指摘されるようになった口臭は歯周病の可能性があり、歯科医院で検査と治療を受けることで改善すると説明されています(e-ヘルスネット, 2019)。

気にしすぎてしまうとき:仮性口臭症と口臭恐怖症

実際には周りが気になるほどの口臭がないのに、「においがある」と悩む状態を仮性口臭症といいます。多くの人は、歯科医師や歯科衛生士から検査結果の説明を受けると納得できます(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)。

一方で、説明を受けても、治療でにおいが改善した後でも、「においがある」と思い続けてしまう人もいます。人が鼻に手を当てたり顔をそむけたりするのを見て、「自分のせいだ」と受け取ってしまうこともあります。こうした状態は口臭恐怖症と呼ばれ、心の面の要因が大きいため、歯科から心療内科などほかの診療科を紹介されることが多いとされています(日本歯科医師会「テーマパーク8020」)。

口臭の悩みで人と話すのを避けるようになった、仕事や生活に差し支えている、という場合は、ひとりで抱えこまず相談しましょう。まず歯科で客観的に測ってもらうことが、安心への第一歩になります。

最終確認日:2026年9月30日

参考にした資料