医療脱毛クリニックの選び方と、契約前に確かめること
医療脱毛は何回も通うため、1回ごとの料金より、契約全体の中身で差が出ます。2024年12月には大手の医療脱毛クリニックの運営法人が破産し、前払いした施術を受けられなくなった人が大勢出ました。この記事では、総額の見方、前払いのリスク、解約とクーリング・オフのルール、カウンセリングで聞くことを整理します。
この記事には広告(PR)を含む場合があります。
- 広告の金額と「総額」が違いやすい理由
- 前払いと倒産のリスク、支払い方法の考え方
- 中途解約・クーリング・オフの法律上のルール
- カウンセリングで聞くことのチェックリスト
料金は「総額」で比べる
医療脱毛は健康保険がきかない自由診療で、料金はクリニックが自由に決めています(山田, 2015)。国民生活センターは、安い広告を見て来院したところ、より高額なコースや「今日契約すれば安くなる」といった勧誘を受けるケースがあるとして、その場で契約しないよう注意をよびかけています(国民生活センター, 2026)。
比べる時は、「希望する範囲を、必要な回数だけ通った場合の総額」を書面で出してもらいましょう。回数が足りずに追加契約が必要になれば、総額はさらに増えます。
追加料金になりやすい項目
基本料金とは別に、次のような費用がかかることがあります。コースに含まれるかどうかを1つずつ確かめましょう。
- 麻酔代(塗る麻酔・吸う麻酔)
- 剃り残しがあった時の剃毛代
- 予約の変更・当日キャンセルの料金、または回数の消化扱い
- 初診料・再診料・薬代(赤みが出た時の塗り薬など)
- 契約期間を過ぎた時の扱い(残った回数が消えるかどうか)
前払いと倒産のリスク
2024年12月10日、全国に施設を持つ大手の医療脱毛クリニックを運営していた2つの法人が東京地方裁判所で破産手続きの開始決定を受けました。帝国データバンクによると、負債は約124億7,133万円、債権者は約9万1,800人で、全43施設が同日付で営業を停止しました(帝国データバンク, 2024)。
運営する事業者が破産すると、利用者は破産管財人に債権を届け出て配当を待つことになりますが、配当はほとんど期待できないと自治体の消費生活相談窓口は説明しています(鴻巣市, 2024)。クレジットカードやローンで支払っている場合は、未施術分について支払いの停止などを信販会社やカード会社に相談できることがあります。ただし、自分の判断で支払いを止めると延滞扱いになるおそれがあります(鴻巣市, 2024)。
同じ窓口は、先払いの契約は慎重にし、施術を受けるたびに支払う方法も検討するよう助言しています(鴻巣市, 2024)。大きな金額を一度に前払いしない、という考え方も身を守る手段になります。
中途解約と返金のルール
2017年12月1日以降の契約では、医療脱毛などの一部の美容医療も、特定商取引法の「特定継続的役務提供」の対象になりました。レーザーなど光を当てる方法や、針を通じて電気を流す方法による脱毛で、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約が対象です(国民生活センター, 2021)。
対象の契約は、契約期間中なら理由を問わず途中でやめられます(中途解約)。その時にクリニックが請求できる額には上限があります(国民生活センター, 2021)。
- 施術を受ける前:2万円まで
- 施術を受けた後:受けた分の料金+「5万円」か「未提供分の料金の20%」の低いほう
また、前払いで5万円を超える契約を扱う事業者は、利用者が求めれば財務の書類を見せる義務があり、契約書面には前払い金を守る措置(保全措置)の有無を書くことになっています(消費者庁, 2026年9月閲覧)。
クーリング・オフ
対象の契約は、法律で決められた書面を受け取った日を1日目として8日以内なら、書面または電子メールなどで無条件に解除できます(消費者庁, 2026年9月閲覧)。クリニックに出向いて結んだ契約でも使えます。
書面で送る場合は特定記録郵便や書留などを使い、メールの場合は送ったメールを保存しておくなど、証拠を残すことがすすめられています(消費者庁, 2026年9月閲覧)。ただし、1か月以内で終わる契約や5万円以下の契約など、対象外の契約もあります(国民生活センター, 2021)。
カウンセリングで聞くことのチェックリスト
厚生労働省は、医師や看護師の資格を持たない「カウンセラー」が、患者の状態をもとに治療方法を決めて伝えることは医師法違反になると示しています(厚生労働省, 2025)。リスクの説明は、カウンセラーではなく医師から受けましょう(国民生活センター, 2026)。
- 医師の診察と、リスク・副作用の説明を受けられるか
- 照射範囲・回数・契約期間・総額はいくらか
- 麻酔・剃毛・キャンセルなどの追加料金はあるか
- やけどなどが起きた時、診察や薬の費用はどうなるか
- 硬毛化が起きた時の対応と費用はどうなるか
- 中途解約の計算方法と、返金までの期間はどうか
- 前払い金の保全措置はあるか、都度払いは選べるか
- その日に決めず、書面を持ち帰って検討できるか
医療機関の広告では、ほかより優れていると言い切る表現や最上級の表現、体験談、治療前後の写真だけを載せることなどが禁止されています(厚生労働省, 2025)。こうした広告を出している所は、判断材料から外して考えましょう。
困った時の相談先と受診の目安
強引な勧誘や解約のトラブルは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターにつながります(国民生活センター, 2026)。施術後のけがや副作用の対処と相談先は、別の記事で詳しく説明しています。
施術の後に、水ぶくれ、強い痛み、数日たっても引かない赤みや腫れ、膿(うみ)を持ったブツブツが出た時は、施術を受けたクリニックに連絡し、対応に不安があれば別の皮膚科を受診しましょう。
最終確認日:2026年9月30日
参考にした資料
- 帝国データバンク 倒産速報(2024年12月10日)
- 鴻巣市「くらしの110番 まだ施術していない分があるのに、美容医療クリニックが倒産した」(2024年)
- 国民生活センター「美容医療サービスはクーリング・オフできる?」(2021年)
- 国民生活センター「美容医療でクーリング・オフが可能なケースも!」(2017年)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」(2026年9月閲覧)
- 国民生活センター「男性の美容医療トラブルも増加!」(2026年)
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」(医政発0815第21号、2025年)
- 山田裕道「外用局所麻酔剤リドカイン・プロピトカイン配合クリームのレーザー脱毛時における有用性の検討」日本レーザー医学会誌(2015年)